ゲフェン西展望台の小さな物語

昔、未だトリスタン国王が初代の頃のお話。

魔法都市 ゲフェン
四方に出入り口がある八角形の街。
中央には魔法塔が聳え立ち、日夜魔術に励む都市。

そんなゲフェンを西に出たところで、モンスター達が仲良く暮らしていました。


とある日に、神様が珍しく仲の良いモンスター達だと関心し、一つ、ご褒美をあげました。
すると突然、何メートルもある、巨大な林檎が空から落ちてきました。

「いつまでも皆仲良く」

持ちつ持たれつな関係を築き上げてきたモンスター達にとって、
この大きな林檎は、とてもありがたい事でした。

仲良く、少しづつ。モンスター達はその林檎を食べていきました。

ところがある日、人間が巨大林檎を見つけて大騒ぎ。
あれよあれよと言う間にそこは観光地となってしまい、人が群れました。
こうなってしまうとモンスター達は近寄れません。

それを見た神様は怒りました。
指でくるんと円を描くと、林檎がある地を丸く切り取り、雲より高い空の上まで浮かべてしまいました。
モンスター達が登れるよう、ちゃんと階段も付けて。
しかし、モンスターが登れるということは人間も登れてしまいます。
いつの日か人間も、登るようになりました。
雲の上からの見晴らしはとてもよく、望遠鏡まで設置してしまいましたが・・・
空の上にある、その展望台まで登るにはかなりの体力が必要でした。
やがて人間が登る姿を見る事は少なくなりました。
しかし、モンスター達はせっせと階段を登り、林檎がある場所まで頑張りました。

月日は流れ、林檎の芯が見えてきてしまいました。
小さなモンスター達は頑張りましたが、どうしても上の方が食べられません。
しかしそれは、林檎を象った日除け傘のようでもありました。

林檎の日除け傘がある展望台。

神様は面白くて仕方がありませんでした。
くすくすと笑いながら、神様はもう一つ、モンスター達に贈り物をしました。


何時しかその展望台の先端には、奇跡の草と呼ばれる【輝く草】が生えておりました。


モンスター達はいつもと同じように展望台まで登り、
その輝く草を大切に、大切に育てました。



そこは人間やモンスター達の憩いの場として、トリスタン国王が三世になった今も、変わらず存在し続けているとか......



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